マルキチと女川

マルキチ阿部商店は、大正14年女川町の西端、塚浜で干物屋として創業しました。当時は周囲に加工食品を手掛ける業者はほとんどありませんでしたが、創業者の「女川の海のもので食品生産をやりたい」という思いから、さまざまな商品開発に取り組むようになります。そして水産加工業としての歩みがはじまりました。

戦前から開発が進んだ女川漁港では当時かつおの水揚げが主力でした。その頃は鰹節を手掛けたこともあります。やがて水揚げの中心がかつおからさんまに変わり、女川は全国でも屈指のさんま漁獲量を誇る港となりました。その変化にあわせて、さんまの加工品の商品化を進める中「リアスの詩 さんまこぶ巻」が誕生します。

そして2006年、女川漁港近くに設立された「マリンパル女川」内水産物流通センター(おさかな市場)で初めての直営店を出店。私たちの歴史は常に女川の漁業の変化と発展と共にありました。

2011年、東日本大震災による津波で女川の水産関連の施設は壊滅的な打撃を被り、マルキチ阿部商店も工場と自宅が流され店舗を失いました。「何もなくて当たり前」を経験した女川は、良くも悪くもリセットされたと言っていいかもしれません。

事業継続をあきらめかけたこともありますが、今では女川に揚がるもので商品をつくり出すことに意味を感じています。地元で獲れる大切な水産資源を余すところなく活かし、たくさんの家庭で愛される味をつくっていく。それがこの地の加工屋としての使命です。

2016年12月 女川・ハマテラスで飲食もできる直営店をオープンしました

そして2020年、新型コロナウィルス感染拡大によって生活様式が大きく変化しました。また、さんまの水揚げが記録的に遅くなり、各所に影響がでました。自分たちの味をどう展開していくかで、今後の未来が決まっていきます。新しいアイデアを膨らませながら、まずはやりながら判断する。マルキチ阿部商店は、常に変化していける企業を目指します。